Vol.02
グローバル社会で
活躍するための
素地を育む
ニュージーランド
ターム留学を通して
2018
英語科
小塙 英男
本校では2016年度からニュージーランドでのターム留学プログラムを開始しました。ターム留学とは、海外の現地学校に一学期間留学をするイマージョンプログラムのことです。プログラム中はホームステイをしながら現地の学校に通います。学校と家庭での実体験を通して異文化に触れ、そこから派生する問題を自分の力で解決する能力を養います。中附では始まってまだ日の浅い制度ではありますが、参加した生徒の成長には目を見張るものがあります。何が生徒をそこまで成長させるのか、ここでは中附における高校生対象の国際交流プログラムを、ターム留学を中心にご紹介したいと思います。
中附におけるターム留学制度
中附には様々な国際交流プログラムが用意されています。高校1,2年生を対象とした単位認定留学(1年間)とターム留学(約3ヵ月)、全学年対象の英国短期語学研修(3週間)と台湾交流プログラム(約10日間)、このように中附生は留学をする機会に恵まれています。ターム留学には2016年度の開始以来、これまで26名が派遣されています。選考によって選ばれた候補生は、出発までに様々な研修を行います。留学に向けて、心の準備、英語の準備のためにオリエンテーションやケーススタディなどの事前研修を行い、現地での生活に備えます。なかでも中長期留学を控えた全国の高校生が一堂に介するオリエンテーション合宿は、精神面を大きく成長させるだけでなく、自分自身を見つめなおし、留学の目標を再確認する機会にもなります。
留学先の様子
現地では一人一校派遣を原則にしているため、人間関係は自分の力で切り拓く必要があります。お客様扱いされることはありません。自分から積極的に行動を起こさないと関係はいつまで経ってもつくれず、あっと言う間に3ヵ月が終わってしまいます。滞在期間中にはスポーツフェスティバルが予定されているところもあり、そのような学校行事は関係を築く絶好の機会になります。ホームステイも一人一家庭が原則です。平日は学校で過ごす時間が長いので、夕食や夕食後の時間をうまく利用したり、皿洗いや家事を手伝ったりして家族と積極的にコミュニケーションをとり、関係を築こうとしている生徒が多く見られます。土日の過ごし方はステイ先の家族によって大きく異なり、旅行に一緒に行く家庭もあれば、自宅でパーティを開く家庭もある一方、自宅でのんびり過ごす家庭もあり、様々です。それぞれの家庭の生活スタイルを受け入れ、柔軟に対応する力が求められます。
人間力の成長
学校生活やステイ先で困ったことがあったとき、生徒はどのように対処しているのでしょうか。事前研修を通して、参加者は出発までに様々な場面での対処法を身につけます。一方で、「現地に行ったら、現地のことは現地で解決する」を基本方針にし、緊急時以外は日本の両親や先生には相談をしないよう事前指導をしています。現地では、国際課の先生、ホストファミリー、そして現地で留学生をサポートする団体が相談相手になり、問題解決に向けて親身に対応してくれるのです。
中長期の留学に求められるものは、最低限の英語力とコミュニケーション力、そして何より「留学を最後までやり抜く」強い意志です。留学による異なる文化との邂逅は、様々な摩擦を生じさせます。とりわけそれはホームステイで顕著に見られます。
当然、英語力の向上はターム留学の参加者全員に見られます。ただ、それ以上に注目したいのが、大きく成長した彼らの人間性や自立心、そして困難に立ち向かう課題解決力です。参加者は留学を通して新しい価値観を発見し、それらを取り入れて自身の成長の糧としています。
New Zealandの大自然
日本の南東、約9,000kmに位置する島国、ニュージーランド。日本よりもひとまわり小さいその国土の3分の1を国立公園や森林公園が占めており、自然豊かな環境です。学校の授業の中にはアウトドアの科目があり、乗馬やトランピング(トレッキング)、カヤックなどを通して大自然と触れ合います。日本では体験できない、自然を活かした授業がニュージーランドの魅力の一つでもあります。
グローバル社会を生きる
これからの子どもたちを待ち受けているのは「多文化共生社会」です。今後はより一層、様々な文化や価値観を受け入れ、共に生きていくための方法を模索する姿勢が必要になります。前述したように、中附には様々な国際交流プログラムが用意されています。このような国際交流プログラムに参加することは、人間性の成長や自立を促すだけでなく、異文化に接し、自分の考え方や価値観に新たな視点を加えることにもつながります。生徒一人ひとりがもつ「芽」を、国際交流プログラムを通して少しずつ成長させるお手伝いをしたいと考えています。みなさんの参加をお待ちしています。