ふくしま学宿
2018年の7月25日~27日にかけて、高校1年生の希望者6名、中学3年生の希望者4名で「ふくしま学宿」を行ってきました。これは「福島のありのままの姿(光と影)」と各分野で復興に挑戦する「人」に焦点をあてた学びのツアーです。ツアーには福島県庁の佐藤良作さん、ならびに福島県観光物産交流協会の庄條久徳さん、大関秀樹さんに3日間同行していただきました。
事前学習
2016年3月にNHKで放送された「原発メルトダウン ~危機の88時間~」を視聴しました。その後に、震災当時のニュースを視聴しながら、「風評被害」がどのように起こるか知るために、ベクレルやマイクロシーベルトの換算を行いつつ、放射線に関する基礎知識を学びました。
1日目
新幹線で郡山駅についた後は、まず福島県環境創造センター(コミュタン福島)で改めて放射線に関する基本的な知識を学習しました。その後に楢葉遠隔技術開発センターを見学し、福島第一原発の廃炉作業を推進するために、どのような開発・実証実験を行っているか、VR体験を通して学びました。
その後、震災時に川内村の総務課長・復興対策課長として住民の避難や帰村後の復興に向けた業務に携われ、現在福島発電株式会社で浜通り事務所長をされている井出寿一さんにお話を伺い、井出さんのご案内で富岡復興メガソーラSAKURAの見学を行いました。
さらに夜は宿舎にて、元東京電力社員であり、震災時は福島第二原子力発電所で働いていらっしゃった吉川彰浩さんのお話を伺いました。吉川さんのお話は、ほとんど報道されていない被災時の原発内部の状況を知る上で非常に貴重な機会となりました。福島の方々が抱えている現在進行中の葛藤をとらえつつ、福島の方々がこのような経験をどのように活かそうとしているか、吉川さんのお話から生徒は多くのことを感じ取ったようでした。
2日目
午前中は福島県外の学校としては、震災後はじめて福島第二原子力発電所を見学しました。厳重なセキュリティチェックの後、2班に分かれて津波の爪あとがまだ残る原発構内に入りました。さらに防護服を着た後に原子炉内を見学し、格納容器の下まで案内してもらいました。見学後は、東電社員の方と活発に質疑応答を行いました。
午後は、避難指示区域である国道6号線を通過した後に、道一本を挟んで帰還困難区域と避難指示が解除された区域に分けられた富岡町の夜の森公園周辺を見学しました。
また、浪江地域スポーツセンターにて、避難による人口減少から新たなまちづくりに取り組んでいらっしゃる(一社)まちづくりなみえ事務局次長の菅野孝明さんにお話を伺いました。
その後、菅野さんの案内で請戸漁港や一階の天井まで津波に襲われた請戸小学校を見学しました。かつて住宅が密集していた場所にぽつんと残された小学校と、その先に立つ福島第一原発の鉄塔を見ながら、生徒たちは津波の衝撃の大きさを体感しました。さらに避難指示が行われたがゆえに多くの救うことができた命を救うことができなかったという現実を知り、津波で亡くなった多くの方が眠る太平山霊園で黙祷を捧げました。
3日目
3日目は午前中、南相馬市を経て、全村避難指示から一部地域が解除された飯館村を訪れ、農業の再生に取り組んでいらっしゃるニコニコ菅野農園の菅野クニさんのお話を伺ったあと、農園の見学も行いました。
午後はSSH指定校となっている福島県立福島高校を訪問し、校内の放射線をグループで測定した後に、福島高校の生徒1名と本校の生徒が2名で1班を作り、福島県の現状とこれからについてグループディスカッションを行いました。
生徒たちは、同世代の福島県内に住む生徒と交流しながら、本音で「フクシマ」がどのように見られており、これからどのようになっていくか、意見を交わしながら共に考えました。帰りの新幹線では、ほとんどの生徒が東京駅に着くまで2時間半ずっと、3日間のふりかえりをノートにまとめていたことが印象的でした。
事後学習
改めて福島現地で感じたことをどのように家族や友人と話し、どのような反応があったか共有しました。その後に、自分が興味を持ったことについてさらに深めるためにポスターを制作し、文化祭で展示を行いました。