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高2教養総合Ⅰ トランスサイエンス(沖縄) 実地調査

教養総合Ⅰ(トランスサイエンス)履修者34名は、2018年12月21日~25日にかけて、沖縄県において実地調査を行ってきました。これまで授業では、山本義隆『近代日本一五〇年~科学技術総力戦体制の破綻~』や新崎盛暉『日本にとって沖縄とは何か』といった本を輪読し、近代社会において科学技術がどのように政治や教育、産業、軍隊と結びつき作られてきたか、学んできました。また、そうした視点から沖縄戦や基地問題をどのように考えることができるかという問いを持ちながら、実地調査に臨みました。

1日目

那覇空港に到着後、まず奥武山公園で2日間ファシリテーターになってもらう大学生とアイスブレイクをし、緊張をほぐしました。その後アブチラガマを見学し、沖縄戦とはどのような戦争であったか改めて体感しました。ひめゆり平和祈念資料館では、ただ展示を見るだけでなく、ひめゆり学徒と友達になってもらい、その後実際にひめゆり学徒によって集団自決が行われた荒崎海岸においてワークショップやディスカッションを行いました。さらにホテルに帰った後も、夜遅くまで大学生たちとディスカッションを行いました。

2日目

2日目は、まず平和祈念資料館の展示資料をもとに、自分で内容を考え、実際に平和の礎に刻まれている方の人生を説明させるというガイド実践のワークショップを行いました。生徒たちは歴史と「向き合う」だけでなく「伝える」ことの難しさを体感したようでした。さらに嘉数高台で沖縄戦と基地問題がどのようにつながっているか考え、最後は普天間基地に隣接する上大謝名公民館で3時間を超えてディスカッションを行いました。最後は時間が足りず、2日間ファシリテートしてくれた学生たちと別れる時には涙する生徒もいました。

3日目

3日目はNHKの取材も入る中、まず辺野古の浜で命を守る会の代表をされていた西川征夫さんから辺野古の街が作られた背景や20年前の反対運動についてお話いただきました。その後、集落を実際に歩きながら辺野古の街をフィールドワークしました。午後は、辺野古商工会の代表をされていた飯田昭弘さんと自民党青年部長として県知事選の際に注目を浴びていた嘉陽宗一郎さんにお話いただき、反対、容認の立場から住民がどのように基地問題を考えているか、生の声を伺うことができました。その後、シーカヤックで大浦湾の自然を楽しんだあと、やんばるを山歩き。ジュゴンの見える丘で名護市議の東恩納琢磨さんにアメリカで行われているジュゴン訴訟についてお話しいただきました。ホテルに帰ってからは、自分たちでファシリテーターをつくり、ディスカッションを行いました。この日も議論が盛り上がりすぎて、終了時刻を30分以上オーバーしてしまいました。

4日目

4日目は、「沖縄イメージ」がどのように創られていったか、観光とはなにか、海洋博公園をフィールドワークしながら考えました。午後は伊江島に渡り、民泊という言葉の生みの親であり、伊江島観光協会の会長を長年つとめられた山城克己さんに民泊導入にあたっての裏話をお聞きしました。その後はいよいよ各家庭に分かれて民泊。島の中をまわると、生徒たちは家業体験や子守をしていました。

5日目

5日目、お昼を各家庭で食べた後、生徒たちが港に集まってきました。港での見送りは映画さながらでした。中には泣き出す生徒も。一路那覇へ向かい、おもろまちをフィールドワークしながらシュガーローフヒルへ。那覇市内を見ながら、沖縄戦、米軍統治下、復帰後の経済や跡地利用など5日間で学んだことをふまえ、改めて沖縄について考えました。那覇空港では、嬉しいサプライズが。1日目、2日目に帯同してくれた学生たちが見送りに来てくれました。この5日間、お世話になったみなさまに心から感謝いたします。