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高2教養総合Ⅰ マレーシアの自然環境調査と観光資源開拓

現地研修報告:岡崎弘幸

1.目的:マレーシア(実地研修はマレーシア北部のランカウイ島)の自然を探究し、生物多様性と環境保全のあり方を学び、観光産業と自然保護の併存についての具体的方策を考え、提案する。また、現地の高校生と交流することで、双方の国を学び、ダイバーシティの観点から観光資源の開発を目指す。

2.現地研修
マレーシア・ランカウイ島で2018年10月23日(火)~28日(日)の4泊6日で実施。
教養総合Ⅰで「マレーシアの自然環境調査と観光資源開拓」を選択している生徒38名が参加した。

研修内容

1日目(10/23)成田から飛行機で約7時間。クアラルンプールで乗り継ぎ、ランカウイ島まで1時間。19:15にランカウイ空港に到着。雨季のためか涼しく感じた。

2日目(10/24)午前中、クアタウンという街のMAHSURI高校にて学校交流(3時間)。中高生の大歓迎を受けた後、校長先生のお話とマレーシアの石を使った遊び、続けて日本からは生徒製作の日本文化と高校生の生活をビデオで紹介し、ダンス部がブレイクダンスを披露した。その後、ランカウイ島の自然環境と観光資源を本校から3組、ランカウイ島の世界地質遺産についてマスリ高校から1組がプレゼンテーションを行った。その後10班に分かれて、班ごとにファイルを使って自然と文化、観光に関するプレゼンテーションを行ない、自然や観光資源について意見交換をした。

午後からはホテルに戻り、周辺の熱帯多雨林で、班ごとにヒヨケザル、ダスティーリーフモンキー、オオリス、サイチョウ、両生爬虫類などの野生動物調査を行った。夕食後はホテル周辺の熱帯多雨林で、夜行性動物の観察を行った。

3日目(10/25)キリムという世界地質遺産にて、マングローブカヤックツアーを実施。洞窟を探検し、カグラコウモリやキクガシラコウモリ、マングローブ林を観察し、ガイドさんからマングローブの繁殖戦略の説明を受け、ランカウイのシンボルであるシロガシラトビ、シロハラウミワシなどを観察した。また、養魚場では日本では珍しいカブトガニやテッポウウオ、エイの観察をした。午後からは2番目に大きなダヤンブンチン島(世界地質遺産)へ船で渡り、3億年前にできたという大理石の入り江に上陸し、観察した。また大理石の岩壁に囲まれた淡水のダヤンブンチン湖で泳ぐ体験をした。

4日目(10/26)午前中ホテル前のビーチで、サンゴの生態や現状、保護についての説明をDr.Gerald B.Goeden(ジェラルド博士)から受けた。その後セメントをこね、サンゴ移植の台座を作り、そこにサンゴを移植するプログラムを行った(1班10個ずつ移植)。このプログラムは、スマトラ地震で損傷したサンゴ礁を復元するものである。午後からはホテル前のビーチで海洋生物を調べた。岩礁地帯にはサンゴや魚類も多く、シュノーケリングしながら観察した。

5日目(10/27)ランカウイ島のもう一つの世界地質遺産である、マッチンチャンのPantai Tengkorakにて5億年前(先カンブリア時代)の地層を観察した。この地層は海岸沿いにあり、東南アジアでもかなり古い地層である。世界地質遺産ではあるが、柵もなく、普通に間近で観察できるところが素晴らしかった。その後は、農園で現地栽培の果物を観察したり食べたりした。

3.観察できた主な生物

ヒヨケザル、ダスティリーフモンキー、カニクイザル、クリハラリス(タイワンリス)、

オオリス(以上哺乳類)、キタカササギサイチョウ、シロガシラトビ(ランカウイの語源となった

ワシ(マレー語でラン=ワシ))、シロハラウミワシ、ナンヨウショウビン、カバイロハッカ、キ

ュウカンチョウ(以上鳥類)、マレーオオトカゲ、トッケイゲッコウ(以上爬虫類)、ヒキガエル

など(両生類)、オオヤスデ、スズメガの仲間、イチジクヒトリモドキ(蛾)、タイワンヒグラシ、

テイオウゼミ(声のみ)(昆虫類、その他)

4.ランカウイ島実地研修で、自分にとってプラスになったこと(生徒レポートより一部抜粋)

  • サンゴが絶滅の危機にあり、私たち一人一人が意識を変えないといけないと思った。
  • 野生動物を間近で見ることができてとても良かった。また英語をいろいろな場面で使えたのが、とても役に立った。
  • 交流校の英語力に驚いた。またマングローブカヤックツアーでは、たくさんのことを学べた。
  • 自然調査ははじめての経験で、自分の足で歩いて生息している動物を調べ、記録する経験はなかなかできることではないので大変プラスになった。
  • ジェラルド博士の講義でサンゴ礁の重要性、現在と将来の環境の移り変わり、それを守るのは自分たちなんだと感じた。また実際に海中でサンゴを観察したときに人間に踏まれたものがあって、踏みつけがいかにサンゴを傷付けてしまうのか分かった。
  • 事前学習で動物をかなり調べてから現地調査をしたので、スムーズに探すことが出き、事前調査の大切さを痛感した。