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SSH概要

授業の様子 授業の様子

SSHとは

文部科学省では、将来の国際的な科学技術関係人材を育成するため、先進的な理数教育を実施する高等学校等を「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」として指定し、学習指導要領によらないカリキュラムの開発・実践や課題研究の推進、観察・実験等を通じた体験的・問題解決的な学習等を平成14年度より支援しています。

SSHでは高等学校等において、先進的な理数教育を実施するとともに、高大接続の在り方について大学との共同研究や、国際性を育むための取組を推進します。また創造性、独創性を高める指導方法、教材の開発等の取組を実施します。

中央大学附属高等学校におけるSSH実践の歩み

第Ⅰ期(2018~2022)の成果と課題を踏まえた第Ⅱ期(2023~2027)の計画

中央大学附属高等学校は、2018(平成30)年度SSH新規指定校に採択され、2022(令和4年)年度に第Ⅰ期指定期間を終了しました。第Ⅰ期では、本校が育成を目指す「次代のイノベーションを担う科学技術系人材」を研究開発課題とし、大学進学後にさらに活躍できる人材の育成を目指しました。本校は中央大学の附属校として、本校での理数系教育を積極的に中央大学理工学部での教育と接続させようと努めています。

さらに中高大10年間の一貫した科学技術系人材育成のために、中央大学理工学部との連携をより強化し、大学教職員の本校への派遣、大学授業・施設の本校生徒への開放、本校と理工学部との高大連携事業の強化、本校卒業生の追跡調査等を進めていく中で、5年間を通して以下の活動に取り組みました。

5年目の2022(令和4)年度には、第Ⅰ期の成果を基に第Ⅱ期の採択申請を実施し、2023(令和5)年度より第Ⅱ期SSH指定校に採択されました。

第Ⅰ期(2018~2022)の研究開発実施報告書

第Ⅰ期を踏まえたSSH第Ⅱ期の実践

第Ⅱ期研究開発課題 「多様な他者との対話性を備えた科学技術系人材を育成するための、中高大を貫く教育課程の開発」 

第Ⅱ期においては、「多様な他者との対話性を備えた科学技術系人材を育成するための、中高大を貫く教育課程の開発」をSSH研究開発課題としています。

そこでの重要な課題が2つあります。1つ目は、第Ⅰ期の取り組みにおいて得られた成果を、第Ⅱ期の5年間を通じていっそう推進していくこと。2つ目は、第Ⅰ期で浮かび上がった諸課題を克服し、学校全体として組織的に開発に取り組む体制づくりです。これらの実現によって、教科を問わず、学校全体でポジティブな波及効果が及ぶような、意欲的で安定的な研究開発体制が展望できるものと考えています。

以上をふまえ、次の3つの仮説を設定しました。

仮説1

中学・高校を貫いて探究する学校設定教科「教養総合」の開発・推進によって、多様な他者との対話性を備えた科学技術系人材としての資質・能力が向上する。

仮説2

分野融合・教科協働を実践する「Project in English for Science」の開発・推進によって、科学技術系人材に求められる国際的な発信力が向上する。

仮説3

コンピテンシー・ベースの観点別評価体制を開発・推進し、授業における評価と目標のあり方を精緻化することによって、大学進学後にも繋がる、生徒の科学的思考に基づいた豊かな創造性が向上する。

研究開発・評価計画

2023(令和5)年度

・第Ⅱ期プロジェクトの実践を本格的にスタートさせる。

・第Ⅰ期生徒についてのデータを収集し、データ分析の準備作業をおこなう。

◆仮説1:カリキュラム開発

中高連携を主眼として導入された「教養総合基礎」(中3)および「教養総合Ⅰ」(高1)の本格的実践を進めることで、生徒のみならず教員間でも、探究活動の定着を図っていく。

◆仮説2:実践型授業研究

「理科×英語」の教科協働・分野融合によって、理系に特化した PBL 型英語授業を実践する。「仮説⇒実験⇒結果⇒英語発表」の探究サイクルを回し、イノベーションを生み出す科学技術系人材を育成する目的のもと、国際的発信力を高めるための機会を創出する。

◆仮説3:学習支援体制構築

第Ⅰ期で明確化した本校生徒における「自己効力感の伸長」という課題に照準し、生徒が成長し続けるための評価方法の検討を進展させる。令和5年度は、自己評価調査の継続実施によるデータ蓄積とともに、第Ⅰ期と第Ⅱ期とを比較するための調査アンケートを新たに開発・設計する。

2024(令和6)年度

・第Ⅱ期プロジェクトの実践を本格的に推進させていく。

・「第Ⅱ期生徒」についてのデータを収集し始める年度である。

◆仮説1:カリキュラム開発

「失敗からの再挑戦」を共通理念とした教養総合基礎(中3)・教養総合Ⅰ(高1)との接続により、これら高2・高3の教養総合にどのような効果・影響が及んでいるかの検証を重点課題としておこなう。

◆仮説2:実践型授業研究

中央大学の附属学校合同での英語発表会を自校で開催するとともに、海外の高校生との研究発表会の開催を継続する。多様な他者を聴衆としつつ、彼らとサイエンス課題を共有する体験を重ねることによって、英語使用の意欲を引き続き喚起していく。

◆仮説3:学習支援体制構築

高2・高3での課題研究の実践とコンピテンシー・ベースの観点別評価の1サイクル完了の年となる。2サイクル目の実施に向けこれまでの取組みの中から課題の抽出を行う。

2025(令和7)年度

・「Ⅰ期 ×Ⅱ期の比較」で得られた知見を、カリキュラムや実践へ還元する。

・第Ⅱ期プロジェクトの成熟を図り、探究活動を組織文化に定着させていく。

◆仮説1:カリキュラム開発

「第Ⅰ期生徒と第Ⅱ期生徒のデータ比較」をもとに、教養総合担当者会議において、現時点での学校全体としての課題を抽出する作業をおこなう。成功例とすべきもの、課題として共有すべきものを切り分け、事業の達成を中間総括することで、それぞれの教員の個別実践へとつなげていく。

◆仮説2:実践型授業研究

中央大学の附属学校合同での英語発表会を、附属学校以外にも参加を呼びかけることで、より外部に開いていく。第Ⅱ期生徒において、系統化された教養総合科目の実践が、自律的探究活動に資するコンピテンシーの育成にどの程度寄与しているかについても、分析を進める。

◆仮説3:学習支援体制構築

コンピテンシー調査のデータ蓄積・分析を継続し、分析対象を卒業生へと拡げていく。SSH第Ⅰ期を経験した卒業生が大学を卒業し、社会人となる卒業生のデータを可能なかぎり追跡・収集し分析する。

2026(令和8)年度

・第Ⅱ期中間評価をふまえた見直しをおこなう。

第Ⅱ期の大目標は、第Ⅰ期で開発された事業を推進し、意欲的で安定的な研究開発体制を実現することである。第Ⅱ期4年目となる令和8年度の課題は、それまでの3年間の取組をすべて継続・推進し、学校運営上の軌道に乗せることである。

その意味で、ほぼ全員の教員が探究系科目を経験したといえるこのタイミングで、「教員の変容」をテーマに調査をおこない、分析結果を校内で共有する。その際、課題研究の方法論が教科教育のなかでどのように活用されているのか、「課題研究と教科教育の往還」の進展度を調査し、データ化する。これは、この SSH 事業が学校の組織文化にどのような本質的な変容をもたらしたかを診断するうえで、重要である。また卒業生ヒアリングもさらに充実度を高めていく。卒業生データベースを活用し、第Ⅰ期卒業生と第Ⅱ期卒業生との比較も含めた検討結果をまとめ、公表する。

2027(令和9)年度

・第Ⅱ期プロジェクトの完成年度である。

第Ⅱ期5年目となる令和9年度は、それまでの取組を継続・推進し、学校運営上の軌道に乗せるとともに、この SSH 事業を通じて企図した教育理念を組織文化として定着させるための、完成年度となる。第Ⅰ期~第Ⅱ期 10 年間にわたる研究開発を振り返り、本校主催の最終成果報告会を実施する。SSH 指定期間で蓄積した研究開発成果をまとめ、他の学校においてどの程度適用可能かの検証をふまえたうえで公表する。

この段階では、大きな理念を共有しつつも細かい改善点を見つけ、それらの気づきが実践へと還元されていくサイクルが確立されているかが、きわめて重要なポイントとなる。

これらの点から必要な手直しを施し、達成度を冷静に見極める作業をすすめること、望むらくは野心的なさらなる研究課題をそこから見出すことが、最終年度の位置づけとなる。

教養総合基礎・教養総合Ⅰ

2023年度に実施した「教養総合基礎」と「教養総合Ⅰ」の生徒ワークシート・教員用ガイドライン