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生徒の皆さんへ(校長メッセージ)

校長メッセージ 生徒の皆さんへ

 

                中央大附属中学校・高等学校

 校長 木川 裕一郎

 

 

新型コロナウイルスの感染は世界中で止まるところを知らず、残念ながら4月からの学校再開は叶いませんでした。本校は5月6日(水)の入学式、5月7日(木)の始業式を目指すことになりました。現在、地球上で起きているパンデミックと呼ばれる状況は、第2次世界大戦以後、人類にとって最大の危機といわれています。

過去を学ぶことで、私たちは直面する難題を解く鍵を手にすることができるかもしれません。歴史を紐解くと人類の歴史は、感染症との戦いでした。例えば14世紀のヨーロッパでは、ジェノヴァからの船の入港によってペスト(かつては黒死病と呼ばれていた)がイタリア、フランス、スイス、ドイツ、スペイン、イギリスなどへ感染拡大し、3年に渡り猛威を振るい、2000万人以上の死者を出しました。ヨーロッパ各地では、専門家の軽視、感染者狩り、根拠のない情報、ばかげた行為や治療、生活必需品を買い占め、医療崩壊に直面したとの記録が残っています。この記録は、今、起きている現象とそっくりです。

この14世紀の出来事から学ぶべきこと、つまり歴史の教訓は、日常生活における身勝手で無謀な行為、社会生活や人間関係における荒廃が事態を一層悪化させ、救える命を救えなくしてしまうということです。

14世紀と現代の決定的な違いは、私たちは格段に進歩した医学を持っていることです。私たちは集団パニックに陥らないように冷静さを保ち、責任を取り得る行動をし、現代医学を信じ、さらに他者に対する寛容の精神を持つ、これらのことができるか、否かが終息の鍵を握ることになります。

最後にもう一つ、お願いです。一夏という長期を避暑地で読書に費やす、これが戦前の比較的恵まれた学生の典型的な休暇の過ごし方でした。現代では通常、このような環境を実現するのは困難ですが、降って湧いたような今回の長い自宅学習期間中に健康管理に留意しつつ、是非とも読書に時間を割いて欲しいと思います。読書は読者に人間的な幅とふくらみを与える一つの創造であると考えられるからです。

では5月になると思いますが、学校で皆さんに会えることを楽しみにしています。