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News&Topics 物理部 2025 Ene-1 MOTEGI GP レースリポート

レース結果

物理部は、11月8日~9日にモビリティリゾートもてぎにて開催された Ene-1 MOTEGI GP 2025 に出場しました。結果は以下のとおりです。

KV-40(電気自動車部門)

  • 総合         23位/62台
  • DivNEXT 総合    7位/32台
  • DivNEXT-c 高校部門 5位/14台

KV-Moto(電動バイク部門)

  • 総合   17位/31台
  • 高校部門 5位/11台

Ene-1 GPとは

 Ene-1 GP は、充電式単三電池40本のみを動力源としてサーキットを周回し、完走タイムや走行距離を競う次世代エネルギーカーのレースイベントです。カテゴリーは3輪以上の電気自動車部門 “KV-40” と、自転車ベースの電動バイク部門 “KV-Moto” に分かれています。クラスは一般、大学・高専、高等学校、中学校の4区分で、参加者は自身が設計・製作したオリジナルマシンで出場します。中学生から企業チームまで多様な参加者が同一条件で競う点が、この大会の大きな特徴です。

 本校物理部は2022年から参戦し、今年で4度目の挑戦となります。今年度はこれまで参戦してきた KV-40 に加え、新たに KV-Moto にも初参戦しました。ミニベロを改造した電動バイク “CFM-R7” を新開発し、2カテゴリー体制で大会に臨みました。

Day 1:車検・フリー走行

 初日は車検と2回のフリー走行が行われました。両マシンともトラブルなく車検を通過し、いよいよ走行テストとなりました。

KV-40(電気自動車部門)

 KV-40は昨年のマシンからカウルを変更した“CF-R6B”で出場しました。1回目のフリー走行では、チームからドライバーへの伝達ミスによりモーター出力の調整を誤り、登坂区間の途中でストップしてしまいました。セッティングを見直した結果、2回目の走行では問題なく完走することができました。

KV-Moto(電動バイク部門)

 KV-Motoは開発の遅れにより事前の走行テストが十分に行えない状況で大会に臨むことになりました。1回目のフリー走行では最高速不足が明確になりました。一方で登坂ではトルクに余裕があることが確認できたため、ピットに戻ると同時にギヤ比の変更を即断しました。その結果、2回目ではスピードが向上し、セッティングの方向性が正しいことを確認できましたが、他チームと比較すると依然として速度面の課題は残りました。
 とはいえ、KV-Moto は今年が初参戦であり、今年度の最大のテーマは「完走」でした。確実に走り切れる手応えを得られたことは大きな成果でした。

 翌日の決勝は雨予報であったため、チームは全マシンの防水処理を念入りに実施し、Day 1 を終えました。

Day 2:決勝レース

 大会2日目は予報どおり雨となりました。濡れた路面とトラブルにより各チームが苦戦し、最終的には両カテゴリーとも約3分の1のマシンがリタイヤする過酷なサバイバルレースとなりました。

本校チームは「完走すること、そして事故を起こさないことが最も重要である」というレースの基本理念を徹底し、走行戦略の軸に据えて決勝に挑みました。

KV-40:視界との戦い

 KV-40 の決勝は、視界との戦いでした。キャノピー外側には雨粒が付着し、内部も曇ってしまったことで、ドライバーは前方がほとんど見えない状態に置かれました。コーナーのライン判断が極めて難しい状況が続きました。

 1st アタック前、ホームストレートの大型ビジョンには、先に出走した有力チームが 5 コーナーで次々とスピンする様子が映し出されました。これを見て、水が溜まりやすいイン側を避け、特に5 コーナーでは減速して抜けるようドライバーに指示しました。

 実際にドライバーはアウト側を重視した慎重なラインで走行し、荒天で視界不良の中でも繊細な操作でマシンをコントロールし、3本のアタックをすべて丁寧に走り切りました。その結果、KV-40 は無事に完走し、過酷なコンディションを生き残ることができました。

KV-Moto:防水作業の徹底と初参戦完走

 KV-Moto はカウルがない構造のため雨の影響を強く受けます。メカニックは走行のたびに電気系の浸水チェックを徹底し、特に防水フィルムの補修・貼り直しをアタックごとに念入りに行い、ライダーをグリッドへ送り出しました。

 レース本番では雨が強まる場面もありましたが、マシンは安定した走りを見せ、KV-Moto も初参戦で無事に完走することができました。チームとして大きな一歩となりました。

まとめ

 今年は 2 カテゴリー参戦により例年以上に作業量が増えましたが、チーム全体でその負荷を乗り越え、2 台とも完走という目標を達成することができました。ドライバー・ライダー、メカニックの判断と努力が実を結び、満足のいく結果となりました。

 今後は、レースで得られたデータと経験を生かしてさらなる改良・性能向上を目指していきます。引き続き物理部への応援をよろしくお願いいたします。

ドライバー/ライダーコメント

北川 雄一郎(高1・KV-40ドライバー)

「今年のレースは雨で視界も路面状況も悪く、初出場の私には難易度の高い環境でした。初日の練習走行では経験不足から電流・電圧の調整がうまくいかず途中で止まってしまうこともありましたが、OBのアドバイスや先生・先輩方の助けを得て、決勝は無事走り切ることができました。これから経験を積み、完走だけでなくタイムも狙えるドライバーになりたいです。」

新家 啓史(高3・KV-Motoライダー)

「今年の物理部は『挑戦』の年でした。初めてKV-Motoに挑戦し、バイクを一から製作。自転車の分解、モーター製作、配線、取り付けなど様々な作業に挑みました。トラブルも多かったですが、試行錯誤しながら前に進み、大会本番では安定した走行を披露できたので満足しています。私は今年で引退ですが、来年は後輩たちがこの経験を活かしてさらに進化した“イカしてるマシン”を作ってくれることを期待しています。今後とも応援よろしくお願いします!」